タラタラしてんじゃねーよ

heimrecord social club (ヘイムラコルト ソシアル クラブ)

2026/11/05 17:44

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11月になった。

今年も、私の好きな秋が無事幕を閉じたように思う。

一般的には11月いっぱいが秋らしいのだが、寒い...と肩に力が入るほどの気候を、私は秋と呼んでいない。

程よい風に程よい気候、目が覚めると明るい窓の外、程よい食欲、そして湧き上がるエネルギー。

これこそが私の秋なのだ。

この後やってくるであろう

銀杏並木が黄昏色に染まる午後4時半頃のあの夢のような景色。

あれは私の大好物だが、私の中では完全に冬なのだ。

 

   秋は一瞬で過ぎ去る。

 

それが私の秋の1番美しいと思う部分であり、だから私は秋が好きなのだ。

無花果のパフェを食べたり、普段はあまり好んで飲まないフルボディの赤ワインを鹿肉と一緒に嗜んだりなどした。

友人等に連絡をとり予定を立てた。

Jazzの名盤について話をしたり、新しく手に入れた深煎りの珈琲豆に合うアルバムを探したりもした。

これは秋らしくはないが、時間があれば歯医者へ通い、主に先生の美声と奥さんへの惚気を聞いた。

奥さんの寝相が悪い話とか、シャンプーの後は大型犬みたいに風呂場が泡だらけになるのが愛おしいんだとか、そういう話。

先生の美声を聴く時間以外、私にとって心底興味が湧かないわけだが、何故だかすごく楽しくて幸せで、

朝からたくさん笑った。

 

その帰り道はいつものカフェでアイスカフェ・オ・レを飲みながら、向かいにお行儀よく座る数種のワンコ達を観察した。

たまに目が合うがそれ以上私たちの心の距離に発展は無く、今日もダメだったか。と店を出る。

夜は毎週3日と決めて、家の風呂に湯を張ってツムラの薬湯と共に入浴した。

そして大きな声で"本日、柚子湯"を歌った。

 

毎日何かしらのドラマや映画を絶えず観ていたと思う。

あらゆる時代と、現実/夢の間を行き来するのでワクワクしてアドレナリンが出まくった。

夜はちゃんと疲れて、ちゃんと眠った。

我ながら充実した秋だったと思う。

夏の思い出に縋る事などせず、私は私の思う"秋らしさ"を心ゆくまで味わい尽くした。

 

 

それなのに今年もやってきた、秋の副作用が。

まず、急に集中の糸が切れたように

眠たくないのに眠りこける。

隙さえあれば睡眠、睡眠...。

好んで聴く音楽はほぼ鳴ってないように近い音量のインストギターになった。

返信速度が遅れる。

祖母への電話も、親友への日常報告も、なんだが身が乗らない。

疲れていないのに疲れたと言ってしまう。

どうしたものか。

 

夜にひとり、家を出た。

都内の喫茶店にて有線のイヤフォンから大音量でHarry Breuerを聴く。

軽妙なフィーリングに身を乗せて、

出来る限り心が軽くなるまで珈琲をおかわりして、閉店間際まで居座る。

そして、もう大丈夫になるまで散歩をした。

道中のスーパーで洗い物の必要が無いふぐに摘める葡萄を購入、それから帰宅。

静かな部屋に戻った。

 

床に転がった私の目線の先、

ドンキ・ホーテで購入していた駄菓子が見えた。

『タラタラしてんじゃねーよ』

 

...。

 

あぁ、パッケージの彼に叱られた。

"タラタラしてんじゃねーよ"の先の言葉は

いくら待っても言ってくれない。

叱るだけ叱って、逃げるなんでズルだ。

と少しいらいらする。

...。

 

違う、私は大人だ。

自分で考えて、行動するしか無いのだ。

それならば今は、もう少しだけ

このタラタラした時間に甘えるという選択を取った。

 

がんばった秋のあとの、この脱力感も含めて

きっと今の私に必要な時間なのだろう。

同じように少しばかり、省エネモードになっているそこの貴方。

今夜は私と一緒に、心ゆくまでタラタラしましょうよ。

床に転がったまま、

すっかり訪れた冬についてを、のんびり考えてみましょうよ。

 

 

 

 

 

 

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