蜜柑

heimrecord social club (ヘイムラコルト ソシアル クラブ)

2026/06/25 01:23

フォロー

 

読書灯の下で、その二行に指が止まった。

 

「わたしはミカンの尻に親指を入れた。

ぷん と甘酸っぱい匂いがした。」

 

剥かれた果皮から飛び散る飛沫まで見えるような生々しさに、胸がどきりと跳ねる。

逃げるように自分の書き散らした詩を読み返したが、そこに広がっていたのは、あまりにも安全で平坦な景色だった。

 

自分の凡庸さが、ひどく惨めに思えてくる。

 

心の淵が、言葉にならない焦燥感で粟立つ。

このまま夜に溶けてしまうわけにはいかない。

もっと生々しく

もっと美しい言い回しを求めて、私は今夜、新しい歌に指先を浸す。

 

 

ページを報告する

コピーしました

heimrecord social club (ヘイムラコルト ソシアル クラブ)

会員登録

コピーしました